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花一華<戯>

2017/02/17 15:00

 「花いちか」という少女は、恋多き女として校内に知れ渡っている。

 そして、その噂は間違っていない。
 まぁ、そんな女を友人に紹介したオレに言えたものではないんだが、アイツがオレに紹介してほしい、と話を持ちかけてきたのだし、そこは大目に見てほしいところだ。

 もともと、花いちかとオレは知り合いではない。
 彼女の親友である少女のほうとはクラスがいっしょなので、そっちから話を通してほしい、という我が友人ながらなかなか遠回りな告白を敢行したのだ。
 で、その花いちかの親友。まぁ、なかなかこちらが曲者なのだが。

 端的に言うと、花いちかのセコム。よく言えば友人想いの少女、といったところか。
 親友がコロコロ男を変えるのを彼女なりには良くは思っていないようで、オレが話を持ちかけた時も随分渋った様子を見せていた。
 まぁ、気持ちは分からんでもない。オレもアイツが1か月ごとに女を変えるような男で、そいつを紹介してくれ、と女の子に迫られたら「考え直せよ」と口にしてしまいそうである。

 紆余曲折を経て我が友人は花いちかと邂逅し、無事に付き合い始めた。
 とはいえ、彼氏が切れたタイミングであれば、花いちかは告白された相手がだれであろうと断らないのが通説となっている。

 問題は、その別れる日を多くの男どもが狙っている、というところだ。
 おおよそ1か月で別れるのだから、その別離の日付は容易に想像がつく。
 あとは早いもの勝ち。彼女が恋人と別れた日に、なるべくタイムラグなく告白できれば校内随一の美少女と付き合える。
 その日を知るために、アイツは親友の方に話を持ちかけるよう仕組んだのだから。
 よくよく考えれば我が友人ながら末恐ろしいやつである。

 まぁ、今は幸せそうなのでなによりだが。

 帰り道。
 グラウンドを見れば今日も元気にサッカー部が汗水たらして練習に励んでいた。
 その中にはアイツも、オレの弟もいる。
 そのコートを取り囲むように応援の女子生徒たちがいて、その端に花いちかと親友の少女がいる。

 ふたりはサッカー部の練習を並んで観ている。
 健気なもんだねぇ、と感心しかけて、彼女たちの視線の矛先にふと気付いた。

「ふーん……へぇ」

 ……こりゃあ、オレの予想が外れてなければちょっと揉めるんじゃないの?
 ま、正直なところ、オレ自身が巻き込まれさえしなければどうでもいい、っていうのが本音なんだが、それはそれ、これはこれ。
 少女たちの視線の先にいる、オレの弟の身を案じるのも兄の役目でしょ。なにもしてやらないけどね。 

 本当の「花いちか」というのを、親友たちを通してでしか、オレは知らない。
 ただまぁ、恋多き女っていうのは罪作りなもんだな、とため息をつくばかりだ。


 <花一華<真>に続く>
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