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彼の受難

2014/01/22 22:50

 九州は福岡。
 水田天満宮にある恋木神社には、夜遅い時間であるにも関わらず多くの人が溢れていた。

 ……多くの人が、というよりは、多くのカップルが。

 名の示す通り、この神社は恋愛成就やら結婚やら、そういった類のご利益をもたらすと言われている。
 縁結びもあるのだが、夫婦岩のような、もう既に恋しい相手の居る人間を主に相手にするような側面が大きいのだ。
 そのため、カップルだらけなのは仕方がない。

 仕方がないのだが。

「くっそー……独り身の人間の気持ちも考えてくれよぉ、神様ァ」

 その中を歩いていく一人の青年。
 青年、というには少し幼いかもしれない。
 未だ高校生にはなっていないだろう、とおぼしき彼は、唇を尖らせてハートの書かれた道を進む。

 そもそもこの道もこの道だ。
 ハートが描かれた参道とはなんだ。
 オレに対する嫌がらせなのか。
 最早そうとしか思えないほど、彼の心はささくれだっていた。

 しかし、この道を行かないわけにもいかない。
 此処を往かねば目当ての人物に会えないのだ。

「うう……」

 カップルの間をするりするりと抜け、彼は奥へ奥へと進む。

「おーい、来たぞー」

 そう声をかければ、参道の奥で一人の女性が振り返った。
 彼も見知った人物である。
 というより、今日は彼女に呼び出されてきたのだ。

「まーくん!」
「まーくん言うな」

 艶やかな黒髪。
 ぱっちりとした黒目がちの瞳。
 一般的には美女、という括りに入るであろう彼女。

 ……彼女は彼の姉である。

「その呼び方やめろ。また彼女って勘違いされる」
「いいじゃない、まーくんはまーくんだもん」
「良くない! そのせいで前の彼女には浮気だって誤解されて……」
「そんな心の狭い女、おねーちゃんは許しません!」
「だからアンタのせいだろうがぁ!!」

 こんな姉のせいでいくら付き合っても上手く行かない。
 かといって家族であるし、好意を無下にできない。

 辛い立場である。

「おねーちゃんで良ければ付き合ったげるのにぃ」
「断固拒否する」
「もうー、つれないんだからぁ」
「……やめてくれ」

 恋とは何故、こんなに難しいのか。

 是非ともここの神様に聞いてみたいものだ。
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