愚者の仮面

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ボール

2013/12/12 19:00

 此処に小さなボールがひとつある。

 暗闇のなかであるため、色は分からない。
 ただ、つるつるとしていて、少し湿っている。
 大きさはピンポン球ほどか、それよりも小さいか。まぁ、少し小さいかな。

 ……私は今、このボールがなんなのか当てろ、と問われていた。

 なんの説明もなく暗い部屋に連れてこられて、閉じこめられた。
 扉が閉じると、この部屋に明かりはなくなった。
 その状況下で、天井にあるのであろうスピーカーから声が聞こえたのだ。

 ――『部屋の真ん中にボールがある。それがなんだか当ててみろ』、と。

 訳も分からず言われるまま暗闇のなかを手探りで進むと、机の脚らしきものに行き当たった。
 それを上へとたどっていくと、小さい天板があり、その上にクッションの上に大事そうに置かれたボールがあったのだ。

 ボールのことについて話を戻そう。

 その小さなボールは少しだけ柔らかい。
 なんだか何処かでさわったことがあるような、ないような。
 でも、この感覚は知っている。
 この大きさのモノを私は知っている。

 そうだな……これは。
 子供の頃にお祭りで見た、水に浮かぶスーパーボールか何かかい?

『へぇ、君の答えはそれでいいのかい?』

 構わない、と答える。

 返答はなく、微かな笑い声と眩しいまでの明かりが私を包んだ。

 一瞬眩んだ世界は、すべてが白い部屋だった。
 私は手にしたそのボールを見る。
 続いて、視界の片隅に映ったモノを見る。

 そして、悲鳴を上げた。

 それは、美しい、本当に美しい、人の眼球と。
 私の親愛なる恋人の眼球を失った美しい肢体だった。
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