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裏切り者の不在

2013/12/07 19:03

 イスカリオテのユダの話を聞いたことが在るだろうか?
 かの有名な彼はイエスを告発した裏切り者と書に遺され、今に至るまで裏切り者として事実とも分からぬ汚名を被り続けている。

 しかし、彼は本当に裏切り者だったのだろうか?
 仮にも……彼の聖人のそばにいて、彼のことを良く知っていたユダは、何故裏切ったのか。

 彼の聖人の信頼が最も厚かったヨハネ。
 裏切り者と謗られるユダ。
 
 そんなとりとめもない、普段なら考えることのなかったことを私が考えてしまっているのは、おそららく駐在所に落し物として届けられた聖書の研究所が手元にあるからに他ならない。

 私はまぁまぁ栄えた駅の近くにある交番の、いわゆるお巡りさんをやっている。
 近くに駅もあるし、そこそこ人も来るので迷子相談だったり、道を尋ねられたり、はたまたこのように落し物を届けられたりと、比較的平和な、そして、それなりに忙しい日々を送らせてもらっている。
 特に、落し物。
 この近辺に学校が多いのもあって、本の落し物は意外にも多い。
 それも、学校図書の落し物が、だ。

 仮にも学校の所有物であるため、こんなん落とすなよ、思わなくないが、まぁ、学生なんてこんなもんだよな、と思わなくもない。
 自分も多分、こんなんだったし。

 というわけで、私は今、落し物として届けられた書物を、何か所持者の手がかりがないかと精査……もとい読書をしているわけである。
 自分の専攻は宗教なんてものと全然縁がないため、こういうのもあるんだなぁ、程度の感慨しか生まれないのだが。

 ……うん、何もない。

 かろうじて近場の大学の印が押されていた以外に、目新しいものは何もない。

 こういった僅かな手がかりでも、あるだけでもましとなる。
 特に、そもそもの持ち主が分かれば最悪大学に押し付けてしまえばいいし。

 その結果、落とし主の学生さんが先生からいくら叱られようと、我々お巡りさんには痛くもかゆくもないのだ。
 幸いにして私は顔も知られていないので、某ユダさんのように裏切り者なんて言われずに済むし。

 ――裏切り者なんて、親しい仲でしか生まれないものであるのだから。

 ……なんてことを思うお巡りさんであった。
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