愚者の仮面

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箱庭の花

2013/05/20 21:53

 ふと思い出すのは君の声。

「綺麗だね」

 そう吐き出すように、僅かな吐息で囁く声。
 
 赤い花に彩られたその箱庭で、穴を開けられたフェンスの内側で、僕らは空を見上げる。

 夜空を飾るのは火薬と金属で創られた光の花。
 たとえ偽りの花であっても、それはこの庭に咲き乱れる薔薇よりも美しく、そして、とても遠く思えた。

 それでも、今僕の隣にいる花に敵いはしないが。

「ねぇ、線香花火やろう?」

 花が笑う。
 綺麗に笑ってまた別の花を咲かせる。

 足元で散る花びらは、一瞬強く輝いて儚く融けた。

「綺麗だね」
「ね、綺麗だね」

 ひそやかに笑いあうこの声を、識るものは薔薇たちだけ。
 閉じられた世界でも、君が居ればそれで良かった。
 
 良かった、のに。
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