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宵祭之事<零>

2013/03/28 23:44

 にぎやけし宵の空に光が舞う。

 その下では浴衣姿の少女たちが楽しげに談笑しながら通り過ぎた。
 そのたびに色とりどりの屋台が沸き立つように声を上げる。遠くから聞こえる太鼓の音。
 親に林檎飴を買ってもらったのか、短パン姿の少年が嬉しそうに笑って色の洪水を駆け抜けた。

 そんな喧噪から少し離れたところで、貧相な屋台がぽつりと祭りを眺めていた。

 薄汚れた布に「きんぎょすくい」の文字。
 その下で色鮮やかな魚たちが悠々と泳いでいる。

 その更に奥で、狐面をつけた少年が暇そうに店番をしていた。

 その屋台に客はいない。
 よっぽど暇なのか、屋台の骨組みに寄りかかって翁の面をつけた男が寝息を立てている。
 狐面がそれを見ても何も言わないところを見る限り、彼もまたこの店のものなのだろう。

 いかにも怪しげな屋台だ。こういったものには近づかないに限る。
 ずれ落ちてきた面を押さえ、滑らかに踵を返す。

 だが、聞こえてしまった。

「ねぇ。金魚すくい、やっていかない?」

 そう言ってこちらに笑いかける、その声が。

                   
   了
 
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おお、了ということは終わりなのでしょうか?
面白かったです! 完走お疲れ様でした。

夏の祭りの不思議な夜店が小気味いいテンポで描写されていて、読み進む内にミステリアスな気分になりました。
登場人物達に顔が無い(代わりに面がある)のが拍車をかけてますね。
途中、魚が瞬きするとは思いませんでした(笑)。人の魂でも乗り移ってるんでしょうか(笑)。
零に始まり零に終わるということで、最初からこの世にいなかった者達の新しいお仲間さんがどんな人なのか、それが気になります。

そう言えばこの話がアップロードされた時期も、お彼岸のすぐ後でしたね。お線香の香りにも合いそうな、しんみりとした気分になりました。

投稿日
2013/03/29
投稿者
上の空一助
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Re: タイトルなし

>上の空一助さん
はい、今回で終了です。
読んで下さりありがとうございました!
夏の話なのに思いっきり冬に載せ始めて終わったのが春という……
季節はずれ感の否めない話でしたがなんとか完走できて良かったです。

「祭りか、祭りと言ったらお面だな」ということ安易な発想で書き始めた話なのですが、登場人物全て面&名無しというよく考えるとミステリアスな話に仕上がっていたのだと、コメントを見て初めて気付きました。
意図せざる効果……まぁ、ミステリアスな話を書きたくて書いていたからいいのですが(笑)

あと、話の本筋に関係ないのでカットしてしまったのですが、あの瞬きする魚たちは「特に未練もないけどなんとなく現世を彷徨っている人の魂が魚になったもの」で、ようするに化け魚なのです。
だから瞼もあるし、瞬きもするという。
上手くこの設定を入れられたら良かったんですけどねー……
夏だから金魚の姿をしているだけで、春は蝶、秋は蛍、冬は……ワカサギにでもなっている、はずです。

全ては繰り返される話、ということで話は零に戻りました。
新入りは……あえて男とも女とも具体的な描写はしていないので、それは貴方かもしれませんよ? という。
変な2人に付き合わされることになる新入りさんは大変そうですが。

こちらも指摘されて初めて気付きましたが、アップしたのってお彼岸の後だったんですね。
なかなか時期に恵まれた話だったのかもしれません。

投稿日
2013/03/31
投稿者
有里馨
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