愚者の仮面

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朱海

2012/09/27 23:31

 何処までも何処までも赤い海。
 そうとしか形容のできない彼岸花の群れが、生温い風に揺れる。

 さざ波立つその場所に半身を埋め、胸に赤と銀の花を抱き、女が嗤った。
 
「ねぇ、私のこと愛してる?」

「ああ、愛している」

 女の問いには感情がからっぽだった。
 返された男の声からも、感情というものは欠落していた。

 そこに「人」はいなかった。

 だから、女は嗤った。
 泣きそうに頬を歪めて、言った。

「嘘つき」

 切りつける言葉はナイフのように。
 男の幻影を短い一言で斬り捨てて、女はその場に横たわった。

 首元で銀の光が煌めく。

 さわさわと静寂に揺らめく赤い海で、オフィーリアのように彼女は眠りに落ちた。
 口元を覆い隠す血の色をした花の向こう、その唇は静かに笑っている。
 
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