愚者の仮面

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予行列車<序>

2012/03/05 23:00

 奇妙な夢を見た。



 まどろむ意識の中でも、それははっきりと姿を見せていた。

 私は今、見知らぬ駅にいる。
 最寄り駅ではない。しかし、駅から見える風景はいつも見慣れているもので、妙な懐かしさがある。

 ここは何処なのだろう。

 先ほどからずっと白い電車が私の目の前に止まっている。
 きっと私が乗るのを待っているのだろう。根拠はないがそんな予感がする。
 私が乗るまで、この列車は永遠に発車しない。発車できない。

 これは全て、私のために用意されているから。

 覚悟を決めて一歩踏み出す。

 本当ならここから一歩も動きたくない。
 ずっとここで誰かが迎えにきてくれるまで動きたくない。

 けど、いつまで待っても誰も来てくれないことも感覚で分かっている。

 座席について窓の外を眺める。
 ホームからは聞き慣れた電車の発車を告げるベル。

『美穂、乗り遅れちゃうよ!』

 幻聴。
 いつも私を急かす友人の声。

 今はもう、その声は聞こえない。

「――香織」

 いくら彼女の名を呼んでも、もう返事は帰ってこないのだ。
 
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